ブックオフ、止まらぬ「中古本離れ」でピンチ

ブックオフ、止まらぬ「中古本離れ」でピンチ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160830-00133519-toyo-bus_all&p=1

前2016年3月期に上場以来初の赤字に転落したブックオフコーポレーション。「総合リユース業」への転換に向けて再スタートの年となった今2017年3月期第1四半期(2016年4〜6月)は、売上高198億円と前年同期と比べて12%増収となった反面、営業利益は4.6億円の赤字(前年同期は0.8億円の黒字)と厳しい出足となった。

 もっとも、今期は前期に実施したパートやアルバイトの大量増員による人件費負担や、「ヤフオク!」への出品にともなう配送費、中古家電買い取りのための査定システム費が期初からコストとしてかかるため、第1四半期と第2四半期は赤字の計画だった。

■ オンライン販売は増収増益

 「第3四半期に黒字転換を果たし、第4四半期に利益を伸ばして通期営業利益8億円を達成するシナリオ。ほぼ想定線どおりのスタートになった」(堀内康隆取締役執行役員)。しかし、決算の内容を詳細に見ると、必ずしも計画通りとは言えないのが実情だ。中古家電の買い取り強化という課題に加え、中核の中古本の立て直しという新たな課題も浮かび上がる形となっている。

 セグメント別では、オンライン事業は、部門売上高16.2億円、部門営業利益1.3億円(前年同期は12.3億円、営業利益0.5億円)と増収増益を実現した。前期から導入したリユース店に陳列後、3カ月を経過しても売れなかった中古本をオンライン用の倉庫に配送する施策を進めた結果、商品在庫が充実。販売面では自社サイトや楽天に加えて、2016年1月から開始した「ヤフオク!」への出品が期初から貢献、計画を上回る上々の滑り出しになった。

 総合買い取りのハグオール事業も、売上高4.5億円、営業損失1.0億円(前年同期は1.2億円、1.3億円の赤字)とほぼ計画どおりの業績を上げることができた。買い取りでは日本橋三越など百貨店内での「総合買取ご相談窓口」の開設や出張買い取りに加え、今年から始めたオークションでのブランドバッグなどの購入などが貢献。販売面では、EC通販やBtoB(卸販売)のほか、催事販売が増収に寄与した。


主力の中古本が前年割れ

 一方、計画未達に終わったのが、リユース事業だ。新規出店は総合業態の「BOOKOFF SUPER BAZAAR」を中心として6店の出店と計画どおりに進んだ。しかし、既存店売上高が前年同期に比べて2.4%増と想定を下回ったため、売上高174億円、営業利益0.6億円(前年同期は159億円、6.66億円)と厳しい出足となってしまった。

 リユース既存店の売上高が計画を下回る結果となった大きな原因は、中古本の不振だ。商材別に見ると、アパレルやスポーツ用品、DVDなど映像ソフトが順調に推移。携帯電話や薄型テレビなど中古家電はまだ規模は小さいとはいえ、前年同期に比べて二倍増と増収に寄与した。

■ 中古本は再びマイナスに

 中古本に関しては、前期、タイトルごとにその時々の需給を反映した値付けオペレーションの導入などのテコ入れによって0.4%増と漸減傾向に歯止めがかかっていた。しかし、今期は前年同期に比べて4.8%減と再びマイナスに転落、前年並みを見込んでいた計画を下回ってしまった。

 何より懸念されるのは、買い取りの減少に歯止めがかかっていないことだ。前期も、第1四半期こそ前年同期に比べて9.9%増と順調な滑り出しとなったが、第2四半期にマイナスに転落、その後も前年割れが続き、前期通期では3.5%のマイナス。今第1四半期も5.0%減と4四半期続けて前年割れが続いている。直営全店で中古家電買い取りの告知を前面に打ち出した結果、「本の持ち込みに対する意識が薄れてしまった」と堀内取締役は分析する。

 そのため、ブックオフでは、陳列後3カ月売れなかった中古本をオンライン事業に転送する施策がオンライン事業の好調につながった反面、リユース事業では売場としての力が低下し来店客数の減少につながる結果となったと判断。8月に入って、店舗ごとの状況に応じて、従来の方針どおり3カ月経過後に転送する店舗、6カ月経過後に転送する店舗、転送せず店舗での陳列を続ける店舗に分類し、売場のテコ入れを急いでいる。


家電の買い取りも計画を下回る

 買い取りでも、9月から単品での買い取りを強化する。たとえば『村上海賊の娘』をはじめ売れ行きがよい単行本について、買い取り価格を店頭に表示するなど、単品での買い取りを強化するが、即効性に欠けることは否めない。

 中古家電の買い取りも順調に進んでいるわけではない。「月によってばらつきはあるものの、トレンドとしては上向きが続いている」(堀内取締役)とはいえ、第1四半期の実績は1億数千万円規模と計画を下回った状況が続いている。

■ テレビCM実施も、家電買い取りは増えず

 前期後半には中古家電の買い取りを訴えるテレビCMを実施したが、実際の買い取りには結びついていない。「ブックオフのブランドであれば買い取りが増えると考えていたが、それほど甘くはなかった。利用してもらう機会を増やし、ブックオフであれば、きちんとした価格で買い取ってくれるという認知度を地道に上げていくかしかない」(堀内取締役)のが実情だ。

 前期は二度にわたる下方修正を行い、市場の期待を裏切ることになってしまったブックオフにとって、今期の黒字化は必ず達成しなければならない計画のはずだ。しかし、実現に向けてのハードルにはなお高いものがある。

野口 晃